外国人の派遣社員が労災事故に遭ったら?



◆10年で倍増した外国人労働者

厚生労働省の推計によれば、外国人労働者数は2006年に約75万5,000人となり、10年前の約2倍に増えています。このほか、約17万人の不法残留(オーバーステイ)の外国人労働者がいるとみられています。
政府は、原則として外国人の単純労働を認めていませんが、一部の日系人などは例外とされているほか、研修生名目の外国人などが単純労働に携わっています。
今、自動車関連部品の下請けメーカーで、日系人の派遣社員がプレス機械で指を切断する事故に遭ったとしましょう。この場合、外国人でも労災保険を受けたり、損害賠償をメーカーに請求したりできるのでしょうか。

◆労災保険は適用、損害賠償は?

労働基準法は、国籍を理由に労働条件を差別することを禁止しています。そのため、外国人労働者であっても、当然に労災保険法は適用されます。
損害賠償については、実質的に指導を監督し、安全配慮を怠った派遣先のメーカーに請求することになるでしょう。通常、後遺症が残るようなケガの損害額は、一般的に67歳まで働いた場合に見込まれる収入額をもとに逸失利益を計算して算出します。家族とともに定住している場合など、合法的な外国人労働者の逸失利益は日本人と同様に算定し、慰謝料についても、後遺症の等級認定や入通院費などをもとに、日本人と同じ基準で算定するのが一般的です。

◆不法就労だった場合は?

しかし、もしも不法就労であった場合には、損害賠償額が日本人より少なくなる可能性があります。在留期間を過ぎていたパキスタン人が労災事故で後遺障害を負って損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は、不法就労の場合は長期的に日本で就労できないとし、事故後に退社してから3年間は日本の収入基準で計算し、それ以降はパキスタンの収入基準で計算するのが合理的としました(改進社事件:最三小判平9.1.28)。パキスタンの収入は日本の5分の1以下とされ、結果、賠償額は日本人に比べると少額になりました。
不法就労の外国人への賠償額が通常の日本人より少ないという判決には、危険な仕事を不法滞在の外国人にやらせることを助長するのでは、という懸念もあります。こうした懸念への対策として、不法就労者自体を減らすことが必要です。そのためには、不法就労者の雇用について、罰則をより厳罰化することなども選択肢の1つとして考えられるべきではないでしょうか。



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労働者派遣に関する新たな動き 〜2009年問題、日雇い派遣〜



◆「2009年問題」対応で厚生労働省が通達

厚生労働省は9月26日、物の製造業において派遣社員を3年間の期限を超えて働かせる脱法行為を規制するため、「いわゆる『2009年問題』への対応について」(職発第0926001号、平成20年9月26日)と題する行政通達を出しました。この通達では、派遣可能期間に係る基本的な考え方や対応方法、労働局における周知啓発、指導等の取扱いなどが示されています。
派遣契約の終了後にいったん契約社員などに変更してから、再度派遣社員として雇用すること(いわゆる「クーリング期間」の悪用)が以前から行われており、問題視されていました。このような「脱法行為」を禁止するというのが今回の通達の主な目的のようです。同通達では、今後、「指揮命令が必要な場合は『直接雇用』に、必要ない場合は『請負』に」と指導していますので、特に製造業を営む企業においては慎重な対応が必要になります。

◆フルキャストに再度の事業停止命令

東京労働局は、日雇い派遣大手である「フルキャスト」に対して、違法派遣(労働者派遣法で禁止されている建設業・警備業や港湾作業への労働者派遣)を行っていたことにより事業停止命令を受けていた期間(昨年8月10日から1〜2カ月)中も派遣を続けていたなどとして、昨年8月に続く2度目の事業停止命令を出しました。今回は、同社の全支店で10月10日からから1カ月の処分ということです。

◆大手が日雇い派遣から完全撤退へ

上記処分(事業停止命令)の影響もあり、同社は、2009年9月末までに日雇い派遣から完全撤退することを表明しました。日雇い派遣が働く貧困層(ワーキングプア)の温床であるとの批判が高まっており、また、厚生労働省が日雇い派遣を原則禁止とするために労働者派遣法を改正する方針を示しているためと見られます。
このような動きにより、日雇い派遣を利用してきた企業には大きな影響がありそうです。日雇い派遣最大手だった「グッドウィル」がすでに7月末で廃業しており、フルキャストの撤退により、ついに大手日雇い派遣業者は消滅してしまいます。
これまで日雇い派遣に依存してきた中小企業(特に、運送業者や量販店など)などは、今後は労働力を直接確保することが必要になるため、新たに求人広告などの手間や経費が必要となり、経営を圧迫しかねない状況です。




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迫り来る「2009年問題」にどう対応するか?



◆製造派遣の「2009年問題」とは?

2004年の労働者派遣法改正において、それまで認められていなかった製造業への労働者派遣(製造派遣)が「1年間」に限って解禁され、2007年にはこれが最長「3年間」に延長されました。2007年3月の時点で契約1年以内であった労働者派遣については、手続きを踏むことより契約期間を2年間延長することができるようになりました。
「2009年問題」とは、2006年3月1日以降に締結された派遣契約が2009年3月1日以降に契約期間の上限を迎え、その際に企業はどのように対応するかという問題です。
もっとも、2006年夏の“偽装請負騒動”以降に請負から労働者派遣に切り替えた企業も多いため、派遣社員の契約期間の上限到達が本格化するのは2009年秋以降だとも言われています。


◆企業はどのように対応するか?

労働者派遣法においては、契約期間が3年間を超えた場合に再度派遣契約を締結する際には、3カ月間以上期間を空けなければいけないとされています。そこで、派遣先企業の対応の選択肢としては、(1)派遣から請負に切り替える、(2)派遣から直接雇用に切り替える、ことが考えられています。
(1)の請負への切替えについては、業務内容を検討しながら、「区分基準」(昭和61年労働省告示第37号)で示されている条件等をクリアしていく必要があります。その際には厚生労働省から発表されている「製造業の請負事業の適正化及び雇用管理の改善に関する研究会報告書」(2007年6月29日)にあるチェックシートが参考になると思われます。(2)の直接雇用への切替えについては、人件費の増加などが特に中小企業を悩ます問題となります。
いずれにしても、派遣先企業としては自社におけるリスクを考えながら、適切に対応していかなければなりません。


◆大手企業における対応策は?

キヤノンは今年3月に、子会社を含めた工場などの製造現場で働く派遣社員(約1万2,000人)の受入れを年内に全面的に打ち切り、半数を直接雇用の期間社員、残りの半数を請負会社との契約に切り替えることを明らかにしました。同社は偽装請負があるとして労働局などから指導を受け、派遣契約への切替えを順次すすめていましたが、直接雇用と請負とに再編する方針のようです。



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